1、家庭教師のメリット

家庭教師のメリットは、スピードと相性の2つです。スピードとは、例えば、極端な表現をすると、塾・予備校は1年かけてやる作業を1~2週間で、完成させることができます。大学受験で、浪人したとします。多くの予備校では、「英文法」「英語長文」「英作文」の3種類の授業を用意しています。「英文法」の授業では、1年間かけて英文法全般を説明していきます。

 

確かに、中学・高校の6年間で行った内容を1年間に凝縮して行うということを考えると早いといえます。しかし、同じことを家庭教師が行った場合、最短で1週間で終えられます。なぜ、家庭教師では、他の追随を許さないスピードが生まれるのでしょう。それは、一対一の関係だからです。一対一ということは、二方向の授業なのです。

 

すなわち、集団授業では教師の一方的な説明で終始しますが、家庭教師では、ただ説明しるだけでなく、授業中頻繁に教師は生徒に筆問をしていきます。そして、理解できている箇所とまだ十分に理解されていないところを判別していきます。この作業により、家庭教師は、担当生徒の弱点だけを素早く抽出し、そこを重点的に説明していきます。一方理解が十分なところは、確認程度でさらりと流します。

 

ところが、同じ民間教育産業である塾・予備校は50倍近く時間を取られるかというと集団授業の本質に関わることなのですが、その避けて通れない性質ゆえに、この差が埋まることは決してありません。集団授業の本質的性質とは、集団の中の中間層に照準を合わせて授業を構成するということです。一番下に合わせると、一番上の生徒たちから簡単すぎるとクレームがきます。

 

一方、一番上に合わせると一番下の層は早晩その塾・予備校に来なくなるでしょう。このバランスを取って最大多数に最大効果を出すことが集団授業を担当した教師に求められます。当然一人の生徒だけに注目するということはしません。

 

しかも、誰がどこが判っていて、別の子はどこが判っていないかなどと考えながらカリキュラムは作成されていませんから、英文法の授業なら全範囲をムラなく説明します。当然、各生徒では、判っている内容を他の生徒と同じように聴かなくてはいけなくなります。逆に、よく判らないところで、もう少し詳しい説明がほしいと思っても自分一人のために授業進度が変わるということもありません。

 

すこし前ですが、偏差値30台から慶応義塾大学に受かったということで世間の評判を独り占めしたということがありましたが、家庭教師業界では、当たり前の光景です。本人の努力は認めますが、これぐらいのことができなければ家庭教師の力量を疑われます。

 

2、家庭教師は、専門家なのです。

家庭教師は専門家なのです。だからその特殊性を考えずに選ぶと効果は、半減します。つまり、塾・予備校でも00コースというのがあって、それぞれの希望のカリキュラムで最大効率を出そうとしています。家庭教師の場合は、その場合分けの差が極端なのです。では、どうのように分かれているか以下でご紹介します。

 

1、医学部受験

 1-1、国立大医学部
  1-1-1、旧帝国大学系医学部
  1-1-2、地方医学部
 1-2、私立大医学部
  1-2-1、旧設医学部
  1-2-2、新設医学部

2、一般国立大学

 2-1、東京大学
 2-2、京都大学
 2-3、その他

3、私立大学

 3-1、早稲田大学
 3-2、慶応義塾大学
 3-3、立教大学、青山学院大学
 3-4、明治大学、法政大学、中央大学

 

これは、あくまで一例です。しかし、予備校では早稲田・慶応は一緒くたに扱われることがありますが、出題傾向が全くことなるこの2校を一緒に捉えて授業をする家庭教師はまずいません。大学受験ひとつ取っても、これだけ専門性が分かれるのです。

 

家庭教師の専門性とはどのようなものでしょうか。医学部受験で説明いたします。現在、医学部受験で浪人生の人口は、約2000人いるといわれています。合格者は、平均すると50倍の倍率を突破しなければ、医学部には合格できません。今年[2017年]の東海大医学部は、倍率100倍でした。受験生の中で平均的勉強をしているだけでは、到底合格できません。この分野では、医学部予備校に対し圧倒的に家庭教師が勝利しています。

 

別の例を挙げましょう。現在不登校の数は、日本全体で20万人を突破しています。この数字は、地方の中核都市の人口に匹敵する数です。そうした不登校になった生徒に対しても家庭教師は活躍しています。例えば、不登校だった生徒が心を開いて社会復帰を果たしています。その方法は様々です。ある生徒は、勉強の面白さに気づき、東京大学へ進学しました。あるいは、サッカーが大好きな子は、Jリーガーの練習生になった子もいます。

 

いままで、一歩も自分の部屋から出てこれなかった子とは思えない変化です。家庭教師ならそれが可能なのです。家庭教師は、一対一です。その生徒に集中します。そして、その生徒から信頼してもらうまで、いつまでも粘ります。それが家庭教師の使命だからです。一人でも、苦しんでいる子を助けたいという気持ちで仕事をしています。1週間や2週間では決して結果のでない仕事です。

 

でも不登校専門の家庭教師は、苦しんでいる子の心の叫びが聞こえてくるのです。ここで助けなければ、この子は一生苦労することになる、この子を助けられるチャンスをもられた今、自分がこの子をなんとしても助けるんだという使命観で仕事をしています。やがて、そうした家庭教師の心が生徒に伝わります。そして、冷たく閉ざされた生徒の心を暖めていくのです。

 

これは、集団授業では、絶対にできない芸当でしょう。家庭教師とそうした生徒の関係は、授業が終わっても関係が続くケースが多いです。まさにその子にすれば家庭教師は、生涯のメンタになったわけです。学校の先生も塾・予備校の先生も生徒が卒業した後も互いに合ったりすることがありでしょう。しかし、家庭教師と生徒の人間関係の濃さは、想像を超えるでしょう。一生付き合っていく関係になるということが普通にあります。

 

嘗て、支援学校の先生に「支援学校に通っている生徒は、一般学校の生徒と交流できないのですか」という質問をしたことがありました。公立の支援学校の先生をしていられたその人は「無理です」と即答されました。これが、家庭教師との差だと実感しました。教育とは、待って、待ち続けるものだということを家庭教師は熟知しています。だから「無理です」という言葉を生徒に向けることはまずないです。

 

3、家庭教師の選び方

家庭教師は専門性の高い仕事です。医学部受験で実績をあげた教師が不登校の生徒とうまく接することができるかと言えば、できると断言するのは難しいでしょう。逆もしかりです。不登校で結果を出した先生だからといっていきなり医学部対策をしろといわれても戸惑うだけです。専門性が違うからです。

 

しかし、家庭教師には、共通点があります。それは人間性です。よく勘違いされるところですが、家庭教師は成績だけしか関心がないとか、あるいは知識があればいいなどと思われている節がありますが、大きな誤解です。これだけ生徒に近い距離にいるわけです。ただ知識だけで人間性を蔑ろにするような人間に長く勤まる仕事ではないです。知識と人間性、この二つは家庭教師の必須事項です。

 

しかし残念ながら、世の中のそうしたイメージを悪い意味で裏切らないような家庭教師のいるのは事実です。これは、現状の家庭教師業界では避けることができない問題です。なぜなら、家庭教師には資格制度がありません。さらには、家庭教師センターを立ち上げようと思えばネット環境を利用して、だれでも安価に立ち上げることができます。

 

では、家庭教師を選び方を説明します。まず人間性です。ネットで情報が氾濫していますが、必ず直接会ってください。できれば2回以上あってください。そして、その時の話の内容は、録音しておいてください。一回目に合ったらその時の話を家に帰って分析してください。

 

そして、次にお会いするとき同質の質問を角度を変えて質問してください。同じ内容の返答がかえってきたら、ある程度信用できますから体験授業をうけてみてください。2回も会えないという方もいらっしゃるでしょう。その時は、最初は電話で、次に直接お会いするということなら不自然ではないでしょう。同じ質問を角度を変えて質問するというのは、例えば、「うちの子は、00大学を目指しているのですが、可能性はありますか」という質問をします。

 

大概は「お子様は、能力がありますので可能性はあります」と答えるでしょう。次に「どの程度、授業をやっていただけたらいいでしょうか」と質問してください。後日直接お会いしたとき「最近の00大学は入るのが難しいですよね。・・・ぐらいの子(自分の子供と同程度)では受からないのではないですか」と質問してみてください。

 

「そうですね」という答えなら、問題外です。「そうですね、しかしやり方次第では可能性があります」という返答がかえって来たら、前の答えと矛盾はないですから、体験授業をお受けになってください。

 

次に、体験授業の受け方ですが、まず、一番自信のある内容を授業すると思います。もう慣れたものですから、大丈夫と思ってしまいます。大抵は体験授業の最後に「なにか質問はありますか」と訊かれます。その時、単純なのだけれども教科書にも解説が載っていないような質問を用意しておいてそれを訊いてみてください。

 

例えば英語で「現在形、過去形というのはわかります。でもなんで過去完了形というものがあるのですか?」というような質問です。これは、完了形という時制を理解する上で絶対必要な知識なのですけれども大概の参考書あるいは教科書には説明がないものです。そこでどのような反応を見せるか、信用が置けるものか否かの判断が、しやすくなったと思います。

 

数学では{-1×―1=1、なんで、なにもないどころか少ない・足りないものを掛けたら1になる、すなわち、足りない状態がいつの間にか解消されて逆にプラスになっているのですか?}という質問をしてみてください。これは掛けるという概念をしっかりと把握している人なら答えられるはずです。

 

授業が始まったら最初の1か月たった後の授業での家庭教師の態度に注目してください。1か月もたてばお互いに慣れてきますので、その先生の地の姿が垣間見れます。家庭教師と生徒は一対一の関係です。相性が悪いというのは、後々、想像以上に精神的負担になります。相性が悪いと思ったらその家庭教師は変えるべきです。

 

現に、こんな話を聞いたことがあります。その子は、浪人して大手予備校に1年間通いましたが成績が伸び悩んでいました。12月に入り予備校の通年の授業がすべて終了し、後は冬期講習を取るかどうかということになったとき、彼は、家族と相談して家庭教師を付けることにしました。国語の担当になった家庭教師は、早稲田大学を卒業し、大手予備校で長年教鞭を執ってきたベテランだったそうです。

 

本人も家族も大喜びだったそうです。そんなすばらしい先生ならなんとかしてくれるだろうと期待しました。授業が始まりました。まず違和感を感じたのは最初の授業の時だったようです。「君は全然基礎ができていない。今から基礎をやり直すぞ」といわれたそうです。基礎力がないのは説明したはず、それに12月に入っている今から基礎をやって間に合うのか、どんどん信頼が崩れていきました。

 

とどめは、「君のいう志望校は間に合いそうにないからレベルを下げたらどうか」という一言でした。早速彼は、家族と連絡し、家庭教師を変えてもらったそうです。結果として、第1志望は不合格でしたが第2志望の大学に入学することができました。

 

ここでいいたいことは、肩書や経歴に目が行きがちになりやすいですが、最後は自分の目で見て判断した方がいいということです。確かにその早稲田大学の先生は言っていることは正しいかもしれません。しかし家庭教師として致命的なミスをしていることに気付いていないのです。つまり、生徒の現状を見ていないのです。それまでの自分の授業スタイルに固執して、柔軟に状況に合わせるということをしなかったのです。彼は、典型的な集団授業の先生です。しかし、家庭教師としては失格です。